シンガポールスリング。

高校時代からの悪友(?)に呼び出されて、弘前のコジャレたバーに行った。 告げられた場所はすぐにわかったが、どう見ても・・50過ぎのオヤジたちが入るような店には思えなかったので、外から電話すると、ざわついた店内からそこそこ酔いがまわった口調で・・店の左奥にいるとの返事。 久しぶりの友の顔を見つけた安堵感からか、つい今しがたのためらいなど忘れてしまった僕がいた。

直径50cmもないような小さな丸テーブルに、大の大人が4人がへばりつき・・思い思いのグラスを片手に、青臭い人生論などを酒の肴にしている様子に、僕もあっと言う間に溶け込んでしまう(笑)。

そんな光景をイヤが応にも見なけりゃならない周りの客たちには・・オヤジ達の姿がいたく滑稽に見えているのだろー。

そんな時・・・隣の席にいた女性3人グループの一人が、カウンター内にいた女性バーテンダーに、透明でとおる声でオーダーした。

シンガポールスリング・・もう一つください!と。

一瞬・・ざわついていた店内から人の声は消え・・BGMだけがユーロビートを刻んだ。

すぐにこれに飛び付いたのが、僕の向かいにいた悪友Aである。 シンガポールスリングをオーダーした声に振り向いて・・シンガポールへ行ったことはあるの?と、その女性へ声を掛けるやいなや、シンガポールスリングについてのウンチクをしゃべり始めてしまったのだ。

悪友Bが止めに入ったが、いつの間にかBまでも・・相手の女性グループと意気投合してしまう始末である。 総勢7人が乾杯するまでには、ものの5分と掛からなかったのだが・・・。

遅れて参加した僕にとっては、今いちノリが悪かったが、聞けば・・沖縄旅行の時に飲んだシンガポールスリングが忘れられないと言う彼女は、機会があれば本場でそれを飲みたいと常々思っていると言っていた。

何だかんだで確認したら、いろんなウンチクを並べていたAをはじめ、その中でシンガポールへ行ったことのある人間は僕だけだったことには苦笑するしかなかったのだが・・、ラッフルズのグリルで飲むシンガポールスリングは格別なのかも・・と、みんなに告げるのが精一杯だった。

なぜなら・・過去2回のシンガポール訪問で、どこへ行ってもまとわり付いてくる高温多湿の空気で極度に汗ばんだ身体には、冷えた飲み物なら何でも美味しく感じた記憶だけがあったからだ。

酔いが廻って勢いづく悪友たちは、彼女たちをカラオケへと誘うことに残りの力を注いでいた。

ここをご馳走してくれるなら・・と、ちゃっかり男どもを手玉に取ろーとした彼女たちとは早々に別れ、僕と悪友Cは帰路についた。

オーチャードアベニューには比べものにならないほど閑散とした帰り路ではあるが・・カラっとした空気は夜空の星を鮮やかに見せている。 サザンクロスは見えないけれど、ひしゃくの先には・・北極星がにわかに輝いていた・・・今日この頃であった。


投稿者 matsumori : 2008/06/16

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